グレート・ファイヤー・オブ・ロンドン

皆さまご存知、ロンドン大火(The Great Fire of London)のお話です。ロンドン大火とは1666年9月2日(日)未明、ロンドンで起きた大火災のこと。プディング・レーンという通りにあったファリナー氏のパン屋(Farriner's bakehouse)から出火し、火は強風にあおられて4日間にわたり燃え広がり、約13,200戸の家屋やセントポール寺院を含む87もの教会などを焼き尽くしました。昔は通りも狭く、家屋のほとんどが木造だったため、被害が拡大したと言われています。それ以降、ロンドンでは木造建築が禁止。また、世界初、「火災保険」が生まれたのもロンドンなんだそうです。そして、これまで流行していたペストの菌も死滅し、ロンドンは新たに生まれ変わることとなるのです。

大火災だった割に犠牲者の数は少なく、厳密な数は明確にはされていないものの、6名の死亡が確認されているそうです。そのうちの一人はファリナー家のお手伝いさん。ファリナーの家族は煙で目を覚まし、下の階へ降りようとしましたが、火の回りが早く、上階の窓から雨どいを伝って隣接する家屋へと逃げました。お手伝いさんは窓からの避難を怖がり、逃げ遅れてしまったようです。

さてさて、この通りのプディング・レーンって面白い名前ですよね。プディングというと、チョコレート・プディングとかクリスマス・プディングを想像しちゃいますが、定義が結構曖昧で、私もイマイチよくわかりません。でも、昔の人が作った最初のプディングというのは、ソーセージに似たような食べ物だったと言います。イギリスでは中世時代のプディングは肉をベースにした食べ物で、肉が使われなくなったのは18世紀後半頃。プディング(Pudding)という言葉は、もともと腸や内臓などを意味しました。プディング・レーンという名は、近くのイーストチープ(Eastcheap)という通りにある肉屋から、この通りを通って、テムズ川(のゴミ運搬船?)へ内臓なんかを運ぶ際、カートから落ちたことに由来するそうで、もともとの名前は『Offal Pudding Lane』といったそうです。「Offal」は動物の内臓、廃物なんかを意味します。そーいやこの道、ちょっと坂道になってます。

プディング・レーン沿いには、1677年に復興記念として建てられた記念塔『ザ・モニュメント(The Monument)』があります。塔の高さは62m。高さは、この塔から出火地点までの距離と同じ(62m)なんだそうです。


ザ・モニュメント(中央)

それにしても、この火災の責任は誰にあるんじゃい。って思っちゃった。。。で、読んでみた。ファリナー氏は自分に過失がなかったことを主張。さらには放火説なんぞが出回って、逮捕者が出たほど。その中で最も注目されたのがロベール・ユベール(Robert Hubert)、当時25~26歳のフランス人男性。証言は曖昧で、決定的証拠もないまま、彼は同年10月27日に絞首台へと送られています。のちに、ユベールがロンドンに来たのは出火後で、無罪であることが証明されているんだそうです。政治的?宗教的?背景があったのでしょうか?彼に罪を擦りつけ、結局うやむやになった感じがするけれど。。。

ちなみに、ロンドン博物館(Museum of London)にはロンドン大火のコーナーがあり、展示が充実しています。当時の火災の様子を日記に記したサミュエル・ピープス(Samuel Pepys)などの展示や街の模型、短編ビデオなどを見ることができます。以前、ブースで一人、ビデオ上映を見たのですが、他に視聴者がおらず、結構当時の火災の雰囲気を味わうことができました(笑)。




参考;

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