ラビリンス

今は亡きデビット・ボウイ(David Bowie)様の妖艶な魅力に魅せられて、昔見た映画『ラビリンス/魔王の迷宮(Labyrinth; 1986)』。彼の魅力は当時子供だった私にも強烈だった(笑)。そして、子供っぽい私は昨年、そこらの子どもたちに混ざって友達とメイズ(Maze)を楽しみました。メイズとは(トウモロコシ畑や草を刈ったり、板で仕切られたような)迷路のこと。迷路でばったり出くわした興奮気味の子どもたちに「そっちはダメだった?(フランス語だったので憶測ですが)」と囲まれた私。背の低い私は同じ子供と思われたようだ(苦笑)。これでも40代なんですが。。。

さて、ラビリンスにもメイズにも迷宮・迷路といった意味があります。この二つ、何が違うのだろうか?と疑問に思った私。調べてみたら同じようで、厳密には異なるそうだ。
  • メイズ(Maze)=いくつか分岐点があり経路の選択肢がある。
  • ラビリンス(Labyrinth)=分岐点がなく、中央に向かう単一経路のみを有する。
ふぅん。そうなのか。実は英語の「ラビリンス」と言う言葉は、クレタのクノッソス宮殿に関連した言葉なんですよね。ギリシャ神話には、ゼウスとその愛人エウローペーちゃんの間に生まれたミノスのお話があります。彼女はクレタ島でミノスを生むんです(因みに彼女の名前はヨーロッパ(Europe)の語源となったと言われている)。最終的に彼女はクレタ王と結婚したため、長男のミノスが王位を継承します。ミノスは生贄に捧げるという約束で神ポセイドンから白い牡牛を得るものの、その美しさに囚われてしまいます。そして欲望に勝てずに白い牡牛を自分のものにし、他の牡牛を生贄として捧げてしまうのです。約束を破ったことに激怒したポセイドンは、ミノスの妻が白い牡牛に性欲を抱くよう呪いをかけます。そして生まれたのが牛頭人身の怪物ミノタウロス(Minotauros)。ミノスは脱出不可能とする迷宮(ラビュリントス)を建造し、そこに凶暴なミノタウロスを閉じ込めます。その迷宮がクノッソス宮殿じゃないの?という訳です。博物館に全体構造の模型がありましたけど、確かに入り組んでいて迷路のような建築物ですよね。


そして、迷宮の紋章「ラブリュス(Labrys)」。ラブリュスとは両刃斧で、博物館には、自分の身長よりはるかに高いラブリュスが展示されていました。こーんなやつ。これらは牡牛の生贄の儀式に使われたのではないかとも考えられているそうです。重かろう。。。よってこれらがラビリンス(Labyrinth)の語源と言われているのです。ちなみにメイズ(Maze)は、当惑・困惑などを意味する古英語『mæs(amasod+masian)』から派生したものと考えられているそうで、ノルウェー語やスウェーデン語に関係しているようです。迷宮・迷路という意味が使用されたのは14世紀後半になってから。面白いですね。

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