ジョン・ノックス・ハウス

エディンバラ(スコットランド)のオールドタウンは見どころいっぱいですけど、そのメイン通りロイヤル・マイルを歩いていると、誰もが目を留める建物があります。それは15世紀に建てられ、ロイヤル・マイル最古と言われているジョン・ノックス・ハウス(John Knox's House)です。現在はミュージアムとなっていますが、ジョン・ノックスが晩年住んだ家と言われています。下の1861年頃描かれた絵と写真を比べれば一目瞭然。ほとんど昔のままの姿を留めています。

Source; Wikipedia
 
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John Knox's House, painted by Louise Rayner c. 1861
ジョン・ノックス(John Knox;1514?-1572)とは何者ぞと思う人も多いはず。彼は牧師であり、スコットランド宗教改革の指導者です。彼が牧師を務めた聖ジャイルズ大聖堂(St.Giles Cathedral)もオールド・タウンに位置し、ゴシック様式の素晴らしい姿を今に残しています。

実は私、一人でこのミュージアムに行ったことがあるんですよ。知識もなく。ただ古い家が好きですから、ついフラフラ~っと入って行ったのです。ダンジョンっぽい不気味な部屋があったらどうしよう~とか思いながらね。大丈夫でしたけど(笑)。内部の部屋を歩きながら並べられた展示品と、壁や天井に美しく施された装飾を見て回った訳なんです。もう昔の話で記憶は薄いんですけどね。ただコインが展示されていたのが記憶に残っているんです。でも何故コインがあったのか覚えていない。見たくせによく理解しなかった訳ですよ(汗)。。。

実は1550年代、ジョン・ノックスが住む以前、この家にはジェームズ・モスマン(James Mosman)という人が住んでいました。彼はスコットランド女王メアリーのお抱え宝石職人兼金細工職人。彼はエディンバラ城でコインを作って働いていたそうなんです。だからコインが展示されていたんですね。今更ですが謎が解けました(苦笑)。そんなジェームズ・モスマンは、内乱で1573年8月に城が包囲されると、偽造の罪で絞首刑にされ、四つ裂きにされ、そして首を切り落とされたのだそうです。むごすぎます。。。

そんなジョン・ノックス・ハウスは、1849年にタウン・カウンシル(Town Council)により一度取り壊されそうになりましたが、都市保全活動家などの努力によって、その危機を乗り越えたのだそうです。2004年に家の発掘調査を行った際、妻壁(gable wall)から、埋められていたボトルがいくつか発見されました。そのボトルに入っていたものは、当時この家を守ろうと寄付を行った人々の名簿。いくつもの手書きの巻紙が紐で結ばれ、ボトルに封印されていたそうなのです。まさにタイムカプセルですね。当時の人々の思いが現代に届いた訳です。そういう人たちの努力があったからこそ、今も私たちは昔とほとんど変わらない姿のこの家を見ることができるんですね。

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