ジョージ・プランタジネット

またもやドラマ『ホワイト・クイーン』つながりになってしまいますが、今回はジョージ・プランタジネット、クラレンス公(George Plantagenet, Duke of Clarence)のお話。リチャード三世のお兄ちゃんね。彼はロンドン塔で処刑された一人です。
 
Source; Wikipedia
彼は1449年10月21日、リチャード・プランタジネットとセシリー・ネヴィルの間に13人兄弟の6男として生まれました。ジョージの父親(リチャード・プランタジネット)は国王になれなかったけど、兄エドワード4世と弟リチャード3世が王位に就いてます。昔の人は兄弟多いけど、彼らにこんなに兄弟がいたの知らなかったなぁ。
  1. ジョウン・オブ・ヨーク(Joan of York, 1438-1438)
  2. アン・オブ・ヨーク(Anne of York, 1439-1476) 
  3. ヘンリー・オブ・ヨーク(Henry of York, 1441-?、早逝)
  4. エドワード4世(1442-1483)
  5. ラットランド伯エドムンド(1443-1460、戦争で敗死)
  6. エリザベス・オブ・ヨーク(Elizabeth of York, 1444-1503)
  7. マーガレット・オブ・ヨーク(1446-1503)
  8. ウィリアム・オブ・ヨーク(William of York, 1447年-?)
  9. ジョン・オブ・ヨーク(John of York, 1448-?)
  10. クラレンス公ジョージ(1449-1478)
  11. トマス・オブ・ヨーク(Thomas of York, 1451-?)
  12. リチャード3世(1452-1485)
  13. アースラ・オブ・ヨーク(Ursula of York, 1454-?)
ジョージ・プランタジネット。そもそも、お兄ちゃんのエドワード4世が敵ランカスター家の娘、エリザベス・ウッドヴィルと結婚していなかったら、彼の人生も変わっていたはず。ジョージはイザベル・ネヴィルと結婚しています。つまり、昔よく行われていた近親婚よね?叔父で、キングメーカーと呼ばれたイザベルの父(ウォリック伯リチャード・ネヴィル)は、エドワード4世の結婚に不満を抱いていた。だからイザベルの父とジョージが姻戚関係になるということは、親族とはいえ、兄エドワード4世にとって自身の王位の座を危険をさらす脅威だった訳です。

ばら戦争でイザベルの父が戦死し、イザベルは爵位と財産を継承しました。夫が妻の財産・爵位を代行できたので、ジョージも財産・権力を得たことになります。けれど、イザベルの妹アン・ネヴィルが弟リチャード3世と結婚したことで、ウォリック伯の財産相続をめぐって兄弟が対立してしまいます。ジョージとイザベルは子どもにはあまり恵まれませんでした。最初の子は死産、その後マーガレットとエドワードが生まれていますが、産後まもなくイザベルが死亡したことから、妹アンが2人の子供を引き取って育てています。ジョージはリチャード3世との相続争いに敗れ、兄エドワード4世への反逆も疑われ、ロンドン塔へ送られます。その頃、ジョージの精神状態は不安定だったとされています。確かに、妻を亡くし、周りや兄弟すら信じられないような状況で、ましてや魔術・呪いが信じられていたような時代ですからね、精神に異常をきたしてもおかしくないですよね。ジョージは兄リチャード4世の命令で、1478年2月18日処刑されました。首を切られたのではなく、ワインの酒樽で溺死させられたとされています。彼は酒豪だったとも言われています。その部屋はロンドン塔内で一般公開されていました。写真がその部屋。今は展示用にライトもつけられ、不気味さは何も感じませんでしたけど。この暗い部屋で何を思い、最後を遂げたのでしょう?彼らの母親は自分の息子たちを和解させようとしたそうです。親としては当然ですよね?今なら、兄弟喧嘩で終わったかもしれないいざこざも、こんな結末に終わってしまった時代。ジョージの人生を考えてみても、王位、血筋、財産をめぐる時代が背景にある限り、彼の思いを理解するのは難しく思えます。


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