トリスタンとイゾルデ

O Romeo, Romeo, wherefore art thou Romeo?
Deny thy father and refuse thy name;
or if thou wilt not,
be but sworn my love and I'll no longer be a Capulet.
Shall I hear more, or shall I speak at this?
'Tis but thy name that is my enemy:
thou art thyself, though not a Montague.
 
学生の時、授業でこのフレーズを暗記しました。もう忘れたけど。。。冒頭でお分かりの通り、これはシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット(Romeo & Juliet)』の一節です。前に行きました、イタリアのベローナ。その観光名所の一つ「ジュリエットの家(Casa di Giulietta)」の庭先には、ジュリエット像があって、その右胸を触ると幸せが訪れると言われているんですよね。ちなみに、このがっつり触っている手はどこぞのおじさんの手。混んでいた時間帯だったので手が入っちゃいました(笑)。ま、みんなベタベタ触っていたので、一応私も触ってきたけども、触らなかったとしても私の人生なんら変わりはなかったと思う。。。


さて、その『ロミオとジュリエット』の元になったと言われる物語があります。それが『トリスタンとイゾルデ(Tristan & Isolde)』。オペラもあるし映画にもなっているし、知っている人は多いと思います。ヴェローナを舞台にした『ロミオとジュリエット』に対し、こちらはローマ帝国支配終了後のブリテン島が舞台です。ちょいと媚薬やらドラゴンやらが出て来て胡散臭さもあるけれど、伝説だもんね。個人的には『トリスタンとイゾルデ』の方が好き。ケルトの説話を起源としたこの物語は、アーサー王伝説同様、色々な話となってヨーロッパにも伝わったそうです。実際、トリスタンはアーサー王伝説にも登場する人物で、円卓の騎士の一人でもあります。リオネスという国の王子として生まれたトリスタン。この地名が実在したかどうかは確認されていないようですが、物語には他にティンタージェル(Tintagel)やホワイトヘイヴン(Whitehaven)など実在する地名も出てきます。そして彼の名前からトリスタンはピクト人だったという説もあります。

リオネスの国王が戦死し、王妃はその悲しみから赤子を「悲しみの子」という意味のトリスタンと名付け、すぐに亡くなってしまいます。そういう意味だったんですね。両親を失ったトリスタンは、のちに叔父でもあるコーンウォールのマルク王の下で王に仕え、過ごすことになります。一方、イゾルデはアイルランドの王女であり、アイルランド王族のモルオルトを倒したトリスタンとは敵対関係。とはいえ、トリスタンは身を伏せたまま過去に2度彼女に助けられたことがあるんですけどね。

ある日、周囲から結婚を勧められた叔父のマルク王が冗談半分で『ツバメが運んできたこの黄金の髪の女性を妻にする』と言うんですね。それがイゾルデの髪だと気付いたトリスタンはアイルランドへ彼女を迎えに行きます。その頃、アイルランドでは獰猛なドラゴンが暴れていて、それを倒した者にイゾルデを与えるとされていました。それもどうかと思うのだけれど。。。ドラゴンを倒し、すったもんだの揚げ句、トリスタンは両国の平和のために、イゾルデをマルク王の妃としてコーンウォールへ連れ帰ることになります。そこで登場するのが『媚薬の葡萄酒』。コーンウォールへ向かう船の中、2人はこのイゾルデママが娘とマルク王のために作った媚薬を知らずに飲んで恋に落ちてしまうのです。この物語は、トリスタンとマルク王の妃となったイゾルデの悲恋を描いているとは言うけれど、現代風に言えば媚薬の力による不倫の末のすれ違いによる悲劇って感じです。。。いやいや、これが媚薬と関係なく純粋な恋愛として読むべきなんでしょうけどね。

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