スペリング

古い国語辞典というものはいつ頃から存在したのでしょう?調べてみたら平安時代頃のようです。いろは順に並べられた辞典としては、橘忠兼(たちばなのただかね) という人によって、1180年頃(平安時代末)に『色葉字類抄(いろはじるいしょう)』というものが作られたようです。

最初の英英辞典はロバート・コードリー(Robert Cawdrey; ca.1538- after 1604)によって作成され、1604年に出版された『アルファベット一覧(Table Alphabeticall)』で、120頁内に2,543語とその定義が短く掲載されたものだったそうです。


英語辞典で最も有名なのはサミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson;1709-1784)です。彼はイングランドの文学者(詩人、批評家、文献学者)で、編集作業に8年を要し、1755年に出版された『英語辞典(A Dictionary of the English Language)』では4万語をリストしたそうです。そして、単語を詳細に定義し、それは現代英語に大きな影響を与えたと言われています。彼の定義はユーモア満載でおもしろい。よく例に挙げられるのは『Oats(オート麦)』。彼はその定義を『イングランドでは一般に馬の飼料となるが、スコットランドでは人の食料となる穀物(A grain, which in England is generally given to horses, but in Scotland supports the people)』と書いている。スコットランド人を小ばかにしている感じがするけどなんか可笑しい(笑)。


それまでイギリスでは、英語のスペリングは色々使用されていたようで、辞書ができたことで単語の綴りも統一されたことになります。かの有名なイギリスの文豪、ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare;1564(baptised)- 1616)も、綴りを一貫して使用していた訳ではなく、彼自身の名前ですら、幾通りかのスペリングが残されているのだそうです。そして彼の死後も、20世紀までは彼の名前の綴りは統一されず、編集者の判断で使用されてきたのだとか。

上から「Willm Shakp」、「William Shaksper」、「Wm Shakspe」、「William Shakspere」、「Willm Shakspere」、「William Shakspeare」。バラバラだけど、シェイクスピアが書く『S』がなんとなく印象的。。。今まで国語辞典で目にする金田一さんの名前はときどき気になったけど、「辞書」というものが身近すぎて、当たり前すぎて、その存在意義は深く考えなかった。でもこれって言葉の天下統一よね。その影響力ってすごいと改めて実感したのでした。

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