古城へゆく。

1066年、ノルマンディー公ギヨーム2世がわーっとイングランドにやって来て、わーっとヘイスティングズの戦いに勝利し、わーっとイングランドを征服(かなり噛み砕いて表現しています)したノルマン・コンクエスト。そして、おそらくその戦いに参加していたと考えられている人物の一人が、ロジャー・ビゴッド(Roger Bigod; -1107)である。彼は貧しい騎士の出でありながら、ノルマンディー公の信頼を得て、重要な地位に就き、イースト・アングリアの土地を賜ったとされている。そして、ビゴッド家は5代に渡って(名前がロジャーとヒューばっかりでややこしい)ノーフォーク伯爵位(Earl of Norfolk)を受け継いだ。ドゥームズデイブック(Domesday Book)には、エセックスに領土を6、サフォークに117、ノーフォークに187所有していたと記されているそうだ。

さて、夏旅行の前に、もともとはこのビゴッド家が所有していたというフラムリンガム城(Framlingham, Suffolk)へちょろっと行ってきました。あぁ、お城なんて久しぶり。個人的には立派な姿をした城や宮殿より、朽ち果てた城跡を見て回るほうが好き。日本人特有の美意識、『わび・さび』みたいな感覚で、個人的にとっても落ち着きます。。。この城はロジャーの息子ヒュー(Hugh Bigod;1095-1175, 1st Earl of Norfolk)の時代の1148年まではモット&ベイリーかリングワーク(Ringwork; ベイリーのみ)の城だったそうです。それがヘンリー2世によって破壊されたため、第2代ノーフォーク伯爵ロジャー・ビゴッド(Roger Bigod; 1144-1220, 2nd Earl of Norfolk;)が再建し、現在のカーテンウォール(Curtain wall);城壁を建設したのだとか。


現在イングリッシュ・ヘリテイジ(English Heritage)が管理するこのお城は、長い歴史の中で様々な建築様式が加えられてきたようです。確かに独特な形の煙突はテューダー時代のものだし、写真左側に見えている建物は、18世紀に救貧院(Poorhouse)として使用されていたのだとか。現在はカフェやショップ、ミュージアムになっています。そして、周りを囲む石造の城壁は、のぼって、ぐるりと歩くことが出来ます。崩れた部分はところどころ板床になっていて、隙間から下が見えるので高所恐怖症の私はちょっと怖かったぞ(苦笑)。。とは言え、本来こんなに古い建築物に登れるというのは貴重な経験な訳で、歴史に直に触れられるのは古城を訪れる醍醐味の一つ。



この城は、フラムリンガム育ちのシンガーソングライター、エド・シーラン(Ed Sheeran)が歌う『キャッスル・オン・ザ・ヒル(Castle On The Hill)』でも話題となりました。

 

第5代ノーフォーク伯爵ロジャー・ビゴッド(Roger Bigod, 5th Earl of Norfolk; c.1245- 1306)が跡継ぎなく死去すると、財産も伯爵位も王室に返却され、後にモウブレー家(Mowbray)、そしてハワード家(Howard)の所有物となったそうです。
 
フラムリンガム城の近くには水辺もあって、この雰囲気、なんとなく昔行ったスコットランドのリンリスゴー宮殿を思い出します。 あの時もこうやって水辺の周りを歩きながら宮殿を眺めていたっけ。。。
 



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