デイヴィッド・コパフィールド

先日、全席ソファーのゆったりシネマで『デイヴィッド・コパフィールド(The Personal History of David Copperfield)』の映画を観ました。原作は1850年に出版されたチャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の長編小説。不遇な幼少時代を過ごしていた主人公デイヴィッド・コパフィールドが、さまざまな人たちに出会い、作家として大成していく様子を描いた作品です。実在の人物をモデルにしたり、ディケンズの自伝的要素が濃い作品というのも興味深い。正直、原作は読んだことないけど、映画はテンポよく話が進み、内容もすごく良かったし楽しめました。 


作品の中でデイヴィッドは優しい乳母ペゴティーに連れられて、漁師町ヤーマスの浜辺へ行きます。ヤーマスとはノーフォークにあるグレート・ヤーマス(Great Yarmouth, Norfolk)のことで、単に「ヤーマス」と呼ばれたりします。私も同じイースト・アングリア地方(ノーフォーク、サフォーク、エセックス)に住んでいますが、グレート・ヤーマスは電車で行くと乗り換えもあるのでちょっと不便というか遠い感じがします。そして、かつてはニシン漁で賑わっていた港町も、今はちょっと寂しい印象が強いかな。

ヤーマスで魚をさばくシーンが出てくるんですけど、以前、雑誌でみたこの写真を思い出しました。これはグレート・ヤーマスで実際に働くヘリング・ガールズ(Herring Girls)。ちなみにへリングとは鰊(ニシン)のことです。このように、かつては季節労働者として若い女性たちがグレート・ヤーマスへ働きに来ていたそうです。もちろん彼らの労働条件は厳しいものでした。災難に災難が重なることを『傷口に塩を塗る』といいますが、魚で手に怪我をすることも多く、また保存用に塩も扱った。つまり、実際に傷口に塩をぬった状態で働くことも多かったんですね。ニシンの内臓を取り出して洗い、梱包する。それでもヘリング・ガールズは一生懸命働いて、仕事終わりのわずかな時間に歌を歌ったりダンスを楽しんだそうです。(参照; The Simple things, August)

それにしても、映画でヤーマスの浜辺にペゴティーの兄たちが住む「船の家」が登場するんですが、その家がとっても可愛かったなぁ。。。

コメント