水仙を見て思う。

『ダフォディル(水仙)』 作/ウィリアム・ワーズワース
訳/i-ADNES (注;あくまで個人的な趣味で訳したものですのであしからず)

丘陵や谷間の上をゆるりと流れる雲のように
一人さまよっていると
突然目の前に現れた
黄金に輝くダフォディルの群れが
湖のほとりの木々の下で
そよ風に吹かれながら
ゆらゆらと踊っていた

天の川にきらめく星たちのように
果てしなく広がり
湖岸の入り江を縁どりながら
優に一万はありそうな花たちが
頭を振って 陽気に踊っている

湖岸に寄せる波も負けじと踊れば
花たちは一層楽しそうに まばゆく揺れる
こんな楽し気な集団に出会ってしまったら
詩人たるもの 陽気にならずにはいられない
ただじっと 見つめ続けていたものの
与えられる心の豊かさにはちっとも気付いていなかった

時折 長椅子に身を横たえ
虚しく 塞ぎ込んでいるとき
あの光景が脳裏に蘇るのは
孤独の中のこの上ない喜びである
たちまち 私の心は喜びに満たされ
ダフォディルたちとともに踊りだす

この詩はウィリアム・ワーズワース(Sir William Wordsworth)の有名な詩です。表現がとても幻想的で、その風景を容易に思い浮かべることが出来ますよね。イギリスでは春を象徴する花ですが、私は水仙というと祖母を思い出します。祖母が好きな花でした。小学校卒業の時、友達やクラスの子たちとサイン帳の交換をしました。いやぁ、懐かしいな!今思うと大した事は書いてないんですよね(笑)。好きな事とか嫌いな事とか云々。そしてちょこっとメッセージくらいで。。。その頃、遊びに来ていた祖母にも書いてもらったものが一枚ありまして、そこに私の似顔絵と自分の好きな花の水仙が描いてあったんです。

さて、今回、お友達と一緒にバッグを縫って知人にプレゼントしたら、お礼に水仙の花束を頂きました。水を吸って少しずつ咲き始めたところです。部屋にいい香りが漂っています。詩のように水仙が咲き乱れる風景ではないですが、この鮮やかな黄色を見て、ふと、ワーズワースと祖母を思い出しました。

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