ラヴェナム・ブルー

中世イングランドでは羊毛の需要が増し、主要ビジネスとなりました。『イングランド王国の宝石(the jewel in the realm)』とも称された羊毛は、主に海外へ販売され、当時、最高の織工たちが集うフランダース(Flanders)や 、繊維産業が盛んだったブルージュ(Bruges)、ゲント(Ghent)やイーペル(Ypres)では高値で取引されたそうです。そこに目を付けたイングランド国王は「ならば課税して王室に収入を」、と羊毛貿易に重税を課し、この課税が結果的に国内での毛織物産業を押し上げて行ったのです。フランダースの織工たちは、当時の戦争等を背景にイングランドへ移り住むようになり、織物の技術をもって各町や村に繁栄をもたらしました。
 
さて、前回ラヴェナムのギルドホールへ行った話をしましたが、ギルドホール内で特に興味があったのは、そんな毛織物に使用された道具たちでした。洗って汚れ等を落とした羊毛はカーダー(Carders)と呼ばれる道具を使って、ファイバーをほくしてから紡いでいきます。このカーダー、まともに買うと意外と高いので、私は教えてもらった犬用のブラシで代用していますが。
 
 
 
そして繊維を紡いで毛糸を作り、
 
 
自然植物を使った染料で染め上げる。何を使うとこういう色になるのかという色のサンプルもありました。微妙な色合いがステキ。
 
 
 
そして、機織り機(Waver)を使って編む訳です。この機械を見るとついつい『鶴の恩返し』を思い出してしまうあたり、自分は日本人だなぁと改めて思ったりもする(笑)。
 
 
織りあげた布は洗って干し、最後はティーゾル(Teasels)と呼ばれる植物で作られたブラシで表面をけば立てて、アイロンをかけて仕上げたのだとか。このブラシ、初めて見た。

 
 
お庭にはその他にも、染料として利用される植物の説明がありました。
 

歴史的にも染料として広く使用されてきた植物の一つがウォード(woad)という植物。色は青になります。いわゆる藍染ですね。ラヴェナムではこの植物を使った淡いブルーは『ラヴェナム・ブルー(Lavenham Blue)』として知られているようです。綺麗な優しい色ですよね。因みに、かつてピクト人ブディカの部族などが戦いへ挑む前に皮膚に施した青いペイントにもウォードを使用していたそうです。
 

ラヴェナムの教会で見たニーラー(Kneeler)もキレイにブルーで統一されていたのが妙に印象的だったけど、コレもやっぱりラヴェナム・ブルーということか?

 
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