トマス・ムーア

ある映画で使われていた、美しく、もの悲しい旋律と歌詞。メロディーは耳にしたことがあるけど何も知らない。調べてみたら『The Last Rose of Summer(夏の名残のばら)』という曲だった。これはアイルランド民謡のメロディーに、トマス・ムーア(Thomas Moore; 1779-1852)の書いた詩をのせたものだそうだ。

ヘンリー8世に仕えたトマス・モア(Thomas More; 1478-1535)。。。じゃなくて、ここで言うトマス・ムーアはアイルランドの詩人だそうです。私、もともと「詩」というものが苦手でした。なぜならリズムと共に小難しい言葉が並べられているイメージがあったから。ましてや愛の詩ともなれば、鳥肌が立つくらい、そして歯が浮くような、甘くて、気障な言葉が連なっている。もう、拒絶反応が出るというか(苦笑)。詩を読むこと自体、苦手だった。でも、今回のように違う角度から入って偶然辿り着いた作品は単純に「あら、ええやん」と思えるようになりました(笑)。

この詩、やっぱりもの悲しい内容でした。切ないというか。。。この曲、日本では『庭の千草』というタイトルで歌われているようです。歌われている花が『薔薇』ではなく、『菊』になってて驚いたけど、その発想がいかにも日本らしい。では、イギリスのソプラノ歌手ローラ・ライト(Laura Wright)の美しい歌声でどうぞ。


夏の名残のばら
 作/トマス・ムーア、訳/i-ADNES

夏の名残のばらが 一輪咲き残っている
美しい仲間たちは すでに色あせ散ってしまった
ともに咲く花はおろか 蕾さえもない
赤みを引き立て 嘆きを分かち合うこともできずに

お前ひとりを残しはしない その茎に思いを寄せるままに
仲間たちは眠りについているのだから 彼らと共に眠りなさい
お前の花びらを 優しくベッドへ散らしてあげよう
庭の仲間たちが 香りもなく眠るその場所へ
 
私もすぐに逝くだろう 友情が失われ
愛の輝かしい輪から 宝石が姿を消してしまうのなら
真の心が枯れ 愛する者たちがいなくなってしまうのなら
ああ 独りで生きられるはずがない 寂しいこの世界で

コメント