イーディス・プリティ

イーディス・プリティ(Edith Pretty;1883-1942)はイギリスの地主で、地元の考古学者バジル・ブラウン(Basil Brown; 1888-1977) に、彼女の土地にある小山の発掘調査を依頼したことで、アングロ・サクソンの大発見につながりました。それが「サットン・フー(Sutton Hoo)」です。幸いそこは未盗掘墓であったため、豊かな副葬品が出土しました。私もイギリス移住に必要な試験の一つ「ライフ・イン・ザ・UK(Life In the UK)」を勉強したことから興味を持ち、実際に2013年にサットン・フーへ、その後、実物の埋蔵品が展示されている大英博物館(British Museum)へと足を運びました。

 
イーディスは裕福な産業家の家庭に生まれ、幼少期は家族とともに世界中を旅していたそうです。そんな訳で、若い頃から広い視野と国際感覚を持ち合わせていたんですね。1919年に母が、1925年には南アフリカ訪問中に父がケープタウンで亡くなると、彼女とその妹は多額の遺産を相続しました。彼女が結婚したのは父親の死後、彼女が42歳の時(1926)で、18歳でプロポーズされ、戦時中も連絡を取りあっていたフランク・プリティ(Frank Pretty: 1879-1934)と結婚しました。

土地を購入して11年後に、なぜイーディスがこの土地のマウンドを調査しようと思ったのかは謎のようです。彼女は47歳で出産し、その後、夫を胃癌で亡くしており、そういった出来事が要因にあるのかは知りませんが、スピリチュアリズムに興味を持ったそうです。彼女自身、以前の土地調査の情報については知っていたようですが、友人がマウンドに幽霊を目撃したとか、スピリチュアリズムへの関与が彼女の決断に影響を与えたという報告もあるそうです。

イーディスは発掘された全埋蔵品を大英博物館に寄付しています。彼女は1942年に脳卒中に倒れ59歳で死亡していました。現在、サットン・フーはナショナル・トラスト(National Trust)の管理下にあります。
 

先日、このイーディスと考古学者バジル・ブラウンとのパートナーシップに焦点を当て、伝説の発掘を描いた映画(The Dig; 2020)が、キャリー・マリガン(Carey Mulligan)とラフル・ファインズ(Ralph Fiennes; 1962-)主演で撮影されるというニュースを目にして、またちょっとサットン・フーを訪れたくなりました。

 
i-ADNESの関連記事;

コメント