チッピング・カムデン

バイブリーについて書いたので、勝手にちょこっとコッツウォルズ・シリーズ。今回はチッピング・カムデン(Chipping Campden)です。ここも人気の町ですね。14~15世紀に掛けて、カムデンの町は、毛の長い「コッツウォルド・ライオン(Cotswold Lion)」と呼ばれる羊の羊毛貿易が盛んになり、繁栄しました。

もともとこの町はカムデンと呼ばれていました。このブログの『イギリス地名の由来』でも書いたように、チッピングとは古英語で「マーケットやマーケットの場所」を意味します。カムデンの町は市場特権(Market Charter)を得た後に、チッピングが付け足されてチッピング・カムデンと呼ばれるようになったのです。

1627年に建てられた古いマーケットホールは今でも存在感がありますね。これまでいくつかマーケットホールを見たことありますけど、チッピング・カムデンのマーケット・ホールはかなり印象に残っています。この屋根の下に入ると、ちょっと違う雰囲気に包まれた気分になります。フロアの石もツルツルで、いかに多くの人々がこの地を踏んだかが伺われ、繁栄したにぎやかなマーケットを想像しました。


18~19世紀になると、産業革命によりカムデンの(コッツウォルズの)羊毛産業は低迷期を迎えます。毛織物から絹織物へと時代が変化していったためです。町の人口も減り、町は活気を失ってしまうのです。

19世紀後半、ウィリアム・モリスが提唱した、中世の質の高い手仕事に帰り、生活と芸術を統一させようとする「アーツ・アンド・クラフツ運動」の流れにのり、芸術家や職人たちがコッツウォルズなどの田舎町に移り住むと、チッピング・カムデンにも新たな命が吹き込まれるようになりました。町の歴史や遺産、魅力を見直し、保護する活動が生まれたことで、私たちも今こうしてチッピング・カムデンの本来の魅力と美しさに触れることができるんですね。

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