バトルズブリッジ

バトルズブリッジ(Battlesbridge)にあるアンティーク・センターについて触れましたが、その建物が印象的だったのでちょいと補足。この屋根から突き出した構造、面白いですよね。実はこの屋根に突き出した部分を『Lucam』と呼ぶそうです。専門的な呼び名なので「ルキャム」と発音するのか「ルカム」と発音するのかは定かではありませんけど。。。


バトルズブリッジにはクラウチ川(River Crouch)が流れていて、19世紀後半まで川の両岸は埠頭としての役割を果たしていたそうです。荷船は小麦粉や馬用の干し草などをロンドンへ運び、また、北部からは石炭などを運んできたのだとか。第一次世界大戦までに川沿いの産業や物資輸送は衰退し、現在のアンティーク・センターの場所にあったMillの建物(下)は1932年の大火災で焼失したそうです。アンティーク村としてエリア開発されたのは1960年代以降。ところで、なぜアンティークに着目したんでしょうかね?
Source; Battlesbridge Conservation Area (1909年頃)
そんな訳で、ここの『Lucam』が実際に使用されていたのか分かりませんけど、一般的には荷物の上げ下ろしに使用したウィンチが収納されていて、天候からウィンチを保護するためにこのように突き出した小屋のような構造をしていたようです。アンティーク・センターではこの上階部、素敵なカフェになっているそうですが、残念ながらその日だけ閉まっていて行けませんでしたー。残念。


アンティーク・センターの反対側はこんな素敵な風景。潮の満ち引きを利用した1830年代の潮力水車(Tide mill)が残されています。エセックスでは貴重な存在なのだとか。そういえば、サフォークのウッドブリッジ(Woodbridge)にも潮力水車があったはず。そして、写真ではちょっと陰になっていますが、左側の3階建ての建物にも『Lucam』が確認できました。
 


こっちのアンティークショップの建物(The Haybarn)も16世紀にコテージとして建てられたもの。

 
昔から川と共に生活してきたバトルズブリッジ。正直、駅は無人駅だし、周りに何もないような所なんですよ。でも、このエリアには歴史的な建物がいくつか残されているし、アンティーク好きが集まってくる。時代の変化にも負けず、無理に規模も変えず、うまく産業転換した村だったんですね。
 
参照;
  • Battlesbridge Conservation Area; Rochford District Council, Essex County Council and Chelmsford Borough,Council 2006

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