ブラック・デス

ブラック・デス(ペスト)とは、14世紀、ヨーロッパで猛威を振るった伝染病。感染すると皮膚が黒くなったこと、死亡率が高かったことからこの名前が付きました。ネズミ→ノミ→人間へと感染し、ロンドンでは1348年が史上最悪の年と言われています。死者を埋葬するための広大な非常用墓地が、ロンドン市壁の外、ウェスト・スミスフィールドに設けられました。現在のチャーターハウス・スクエア周辺で、そこは14世紀以降そのままの状態が保たれてきた場所なのだそうです。

2013年、工事の際に25体の骨が発見されています。12体の層の真下にさらに13体があったそうです。DNA分析の結果、彼らはペストで死亡したことが証明されました。勿論、彼らはほんの一部に過ぎず、まだまだ多くの遺体が周辺に埋葬されていると考えられます。当時のロンドン市民の60%がペストで死亡したと言われており、それは現在で言えば500万人のロンドン市民に匹敵するとされています。昔のロンドン規模を見ると、それがいかに大きな数であったかが想像できますよね。

昔のロンドンの地図(1572)
ブラック・デスは、その後も何度か流行しています。下は以前、ロンドン博物館で購入したポストカード。1665年に流行したブラック・デスで、発病、隔離、避難、埋葬、葬儀など9つの過程が描かれています。ブラック・デスはDNA分析の結果、マダガスカルなどで近年報告されているペスト(Bubonic plague) と一致するのだそうです。猛威を振るったブラック・デス。過去の出来事と思いがちですが、今でも確実にこの世に存在しているんですね。

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