トレスヴィー・クォイット

『トレスヴィー・クォイット(Trethevy Quoit /Cornish; Koyt Tredhewi)』は、イギリスのコーンウォールにあるドルメン(dolmen)、支石墓です。ケルト語で『dol』は「机」、『men』は「石」を意味し、その意味の通り、大きな天井石とそれを支える数個の石で構成されており、そのほとんどが「共同墓」と考えられています。私はコーンウォール地方へ行ったことがないので、もちろん見たことはありませんが、『トレスヴィー・クォイット』は、ドルメンの中でもなかなか興味深いなと思うものの一つです。このタイプの巨石は紀元前3700~3500年の新石器時代に建てられたものだそうです。個人的には天井石に小さな丸い穴が開いているのがとーっても気になる。人工だと思ったけど、ある説明には自然な穴と書かれていた。いやいや人工じゃないの???この辺も明らかになっていない感じ。実際の用途は不明だけれど、それは天文観測に使用されたという意見もあるようです。石全体の高さは2.7m(9ft)、天井石は長さ3.7m、10トンもの重さがあるそうで、どのようにしてこの石を積み上げたのだろう。謎ですね。

Source; Wikipedia
Trethevy Quoit in Cornwall

もともと『トレスヴィー・クォイット』は、他の巨石墓と同様に、盛り土(mound)で覆われていたと考えられています。その場合の直径は6.5m。現在は5つ(元々は7つ)の支石の上に巨大な天井石が乗っています。もともと、水平に置かれていたか、わずかに傾斜して設計された可能性もあるものの、西の支石が崩壊して内部に倒れていることから、古い昔に現在のような急な傾斜になってしまったようです。

コーンウォールには古くから人々が住んでおり、彼らはおそらく農民、牧畜民、または漁師だったと考えられています。たくさんの時間とエネルギーをつぎ込んで作られたであろうこれらの支石墓は、コミュニティにおいて重要なものであったに違いありません。そして、建設を指揮した人がいたはず。先史時代、もし先祖代々の死者をコミュニティと神々の仲介役と捉えられていたとするならば、二つの世界の重要な境界領域だったはずです。そのため、かつては各コミュニティにこのような「死者の家」が少なくとも1つはあったのではないかという見方もあるようです。『トレスヴィー・クォイット』では、酸性度の高い土壌のために骨は発見されていませんが、巨石墓の内外から木炭や火葬された骨などが発見されているところもあり、どうやら青銅器時代中期頃、火葬のために再利用されていたようです。また、ブルターニュ、フランス、ウェールズ、アイルランドのドルメンには類似点があり、海を介してこれらの地域とのつながりがあったとも考えられています。

この『トレスヴィー・クォイット』、地元では「巨人の家(the giant's house)」として知られているそうです。また、正確な関連性は不明ながらアーサー王伝説に因んだ「アーサー・クォイット(King Arthur’s Quoit)」という別名もあるのだとか。そもそも『クォイット』とは「輪投げ」という意味があります。この言葉は、巨人が輪投げゲームを楽しんでいたというコンウォール地方の伝説に由来しており、巨人が投げた輪投げが、ここでいう天井石という訳なんですね。そう言えば、地域は異なりますが『マクリー・ムーア・ストーン・サークルズ』や『フィンガルの洞窟』、『ヒルフィギア』などでもたびたび「巨人」が登場しました。巨人は世界中の物語に登場しますが、イギリスの神話、伝説、民間伝承などにも多くの巨人の話が残されています。何か意味があるのでしょうか?そう言えばイギリスの童話『ジャックと豆の木(Jack and the Beanstalk)』にも巨人が登場しますよね。このような遺跡は、神話や伝説などと歴史とが相まって、ますます神秘的な存在になっているように思います。

参照;
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Trethevy_Quoit
  • https://www.english-heritage.org.uk/visit/places/trethevy-quoit/history/
  • https://www.ancient-origins.net/ancient-places-europe/trethevy-quoit-0014085
  • https://www.haunted-britain.com/trethevy-quoit.htm
  • https://www.cornwallheritagetrust.org/our_sites/trethevy-quoit/

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