シーラ・ナ・ギグ

ガーゴイルとハンキー・パンク』に関連してもう一つ、『シーラ・ナ・ギグ(Sheela na Gig)』と呼ばれるグロテスクの話。これも、古い時代のイギリスやアイルランドの教会、城などにみられる彫刻ですが、特徴は女性の陰部を誇張した裸体彫刻であること。一見すると露骨で下品ですけど、厄除けのようなもの、幸運のものととらえられています。奇妙に思えますが、古代の人々は戸口を守る役割の呪術として「女陰」に似た形の物を戸口や門の所に打ち付けておく風習があったそうで、大抵はドアや窓の上におかれているそうです。

Source; Wikipedia
A 12th-century sheela na gig on the church at Kilpeck, Herefordshire, England

この彫刻はイングランドよりアイルランドに多く存在(100以上)することが確認されているのだとか。シーラ・ナ・ギグという名前に関しては、ロイヤル・アイルランド・アカデミー(the Royal Irish Academy)の論文集(1840-1844年)の中で、アイルランドのロチェスタウン(Rochestown, County Tipperary, Ireland)にある教会の切妻壁に、かつて存在した彫刻の地元の名前として掲載したのが最初だそうです。「シーラ(Sheela)」は「Sheila, Síle and Síla」などの異なるスペルもあり、オックスフォード英語辞典によると、アイルランド語で「胸のジュリア」を意味する『Síle na gcíoch』に由来するとあります。ただ実際には、そのものの起源についても、そして名前の起源や意味についても様々な説があり、学者の間で意見が割れているそうで、定かではありません。謎のシーラ・ナ・ギグ。謎だけど、このような生殖器崇拝と呼ばれるようなものは昔から世界各地に、もちろん日本にも存在しているんですよね。やはり昔の人々は生命の誕生に神秘的なものを感じ、そこに何か救いを求めていたのかもしれません。

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