ドリームブック

最近、なぜか妙な夢ばかり見ます。内容は夢だから普通に考えるとあり得ないんだけど、知っている人が登場したり、以前の夢で行ったことのある場所がまた登場したり、内容がリアルすぎて夢から覚めた瞬間に現実とごっちゃになるような錯覚に陥ります。どの夢も内容や場所は違うのに、どれも雰囲気が似ていて、全部繋がったもう一つの世界が存在しているみたい。覚えているか否かは別として、人は毎晩夢を見ていると言いますよね。米国スタンフォード大学医学部精神科の西野精治教授によると、「体は寝ているが脳は起きている」というレム睡眠中は、脳の中で「視覚や体の動きを感知し、さも現実かのように夢の世界を体感している」そうで、具体的でかつ合理的、現実的な夢を見ることが多いそうです。逆にノンレム睡眠では大脳は働いていないので、「抽象的で辻褄が合わない夢」を見ることが多いのだとか。なるほど。確かに私の夢は、明け方一度目を覚ました後に見ていることが多い。レム睡眠で見ているから夢が鮮明という訳なんですね。

人はなぜ夢を見るのか?中世の人々は夢には何らかの意味があるのではないかと考え、神からのメッセージ、あるいは預言的なものとして捉えていたようです。そこで意味の解釈に用いられていたのが『ドリームブック(Dreambooks)』と言われる書物。いわゆる夢辞典です。下はブリティッシュ・ライブラリ(British Library)に保管されている『ソムニア・ダニエリス(Somnia Danielis)』、あるいは『The Dreams of Daniel』として知られている一般的な中世のドリームブックです。もともとラテン語で書かれたこの本は、旧約聖書の預言者ダニエルに捧げられたもので、ソムニアはラテン語で「夢」を意味する複数形、ダニエルは著者ではなく先に述べたように聖書における神​の​預言者を意味します。

Source; Wikimedia
Somnia Danielis, c.1400
Held by British Library, Sloane MS 1609
現在、ヨーロッパには9~15世紀に書かれたドリームブックの写本が多く残されているそうです。もちろん夢の解釈は中世に始まったことではありません。実は古代から夢の研究は行われていて、ギリシャ人アルテミドロス(Artemidorus; 2AD)という人物は夢の解釈に関する書物『Oneirocritica(Ονειροκριτικά)』を既に書いているんですね。ドリームブックはこれから派生したものと言われています。なのでドリームブックにはいくつかバリエーションがあるそうですが、解釈は驚くほど一貫しているのだそうです。どの時代も、どの国でも夢は謎、夢への興味は変わらなかったんですね。

この『ドリームブック』は、昔の人々がどのような夢を見て、未来のどんなことについて知りたがっていたのかを教えてくれる興味深い書物でもあります。書物は色分けされていて、見出しは赤字のラテン語で、説明は黒字で書かれ、アルファベット順に並んでいるそうです。例えば、動物、結婚、子供、病気、紛争など日常生活に関するシンボルから、月、太陽、星、雪、水、晴れた空などに至るまで。さらには人間の行動から見る判断もあるのだとか。シンボルを見ると現代と大して変わらないみたいだから、今に通じるものもあるかも。現代の夢占いはまた別なのかな?そこまでは調べてないので分かりません。

さて、夢と言えば、私には子供の頃から現実のように記憶に残っているイメージがあります。例えば一本道の通った花畑。祖父母の昔の家の裏手に見えた景色と記憶しているんですが、実際には住宅街で花畑は有りません。そしてその家の秘密の階段。壁と茶箪笥の間に扉があって、そこを開けるとあった階段なんですが、実際には存在しない。祖父とピクニックに出掛けた近所の丘。この場所にも丘はなかったと思う。。。なのにどうしてもこの3つのイメージだけがリアルで頭から離れないのです。今となっては夢でみたのか何なのかも分からなくなってしまいましたけどね。。。

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