フラナン諸島のミステリー
スコットランドにフラナン諸島 (Flanna Isles)という島群があり、定かではありませんが、7世紀のキリスト教聖職者聖フラナン(Flannánmac Toirrdelbaig; 640)にちなんで名付けられたとも言われています。諸島の中でも最大の島アイリーン・モア島(Eilean Mòr)は、「大きな島」という意味があるそうで、廃墟の小さなチャペルが存在しているそうです。この付近の海は難所として知られているためか、アイリーン・モア島には侵入者を歓迎しない妖精がいるという伝説が古くから語り継がれているそうで、付近を航行する船の安全を確保するために1899年に灯台が建てられました。この島で最も有名なのは、おそらくこの灯台でしょう。というのも、1900年に当時駐在していた灯台守3人が謎の失踪をするという奇妙な事件が起きているからです。その事件は未解決のまま現在に至っています。
Source; Wikipedia JJM / St. Flannan's Cell and Flannan Isles Lighthouse 27 June 1993 |
姿を消した灯台守は、ジェームズ・デュカット(James Ducat)、トマス・マーシャル(Thomas Marshall)、ドナルド・マッカーサー(Donald McArthur)の3人。分かっているのはざっと、3人は1900年12月15日土曜日夕食時まで勤務していたこと。ランプ点灯の準備は出来ており、台所用品はどれもすごく綺麗だったことから、彼らが立ち去ったのは夕食後しばらくしてだったにちがいないこと。正面入り口と門が施錠されていたこと(開いていた可能性もあり)。西の上陸場は最近の嵐により被害が出ていたこと。2人のオイルスキンがなくなっていたが、1人のオイルスキンだけが残されていたことから、1人はオイルスキンなしで灯台を立ち去ったということ。この「オイルスキン」というのは防水服・保護服の一つだそうです。結局、3人の遺体は発見されておらず、真相は分からぬままです。
実際、12月15日に航行していた汽船が悪天候にもかかわらず灯火が作動していなかったことを航海日誌に記録しており、その10日後の25日には、食料等を補給していた定期船が島に到着するも何の応答もなかったことから、3人の灯台守の姿が消えていたことが発覚しました。そのため、様々な噂や憶測が流れました。外国のスパイによって誘拐されたとか、幽霊船にさらわれたとかいう話から、常備されていた道具箱やオイルスキンが見当たらない事から、崖で作業中に吹き飛ばされ溺死したとか、1人が足を滑らせ、それを助けようとした2人も海に投げ出されたなどという説です。ただ、救助に使われるであろうロープやライフベルトも残されていたことから疑問も生まれました。さらには、灯台員らの性格や心理に基づき、1人が発狂して2人を殺して遺体を海に投げ込み、その後自ら跳び込んで自殺したという説まであります。
実際、12月15日に航行していた汽船が悪天候にもかかわらず灯火が作動していなかったことを航海日誌に記録しており、その10日後の25日には、食料等を補給していた定期船が島に到着するも何の応答もなかったことから、3人の灯台守の姿が消えていたことが発覚しました。そのため、様々な噂や憶測が流れました。外国のスパイによって誘拐されたとか、幽霊船にさらわれたとかいう話から、常備されていた道具箱やオイルスキンが見当たらない事から、崖で作業中に吹き飛ばされ溺死したとか、1人が足を滑らせ、それを助けようとした2人も海に投げ出されたなどという説です。ただ、救助に使われるであろうロープやライフベルトも残されていたことから疑問も生まれました。さらには、灯台員らの性格や心理に基づき、1人が発狂して2人を殺して遺体を海に投げ込み、その後自ら跳び込んで自殺したという説まであります。
時が経つにつれ、航海日誌の存在が取沙汰されました。12月12日、2番目のアシスタントであるトマスは「過去20年で今までに見たことのないような強風」について触れ、ベテランのジェームズが「非常に静か」で、ドナルドが「泣いていた」と書いています。実際、ドナルドは熟練した船員で、タフな喧嘩屋として知られていたといいます。そんな彼がなぜ泣いていたのでしょう?12月13日、嵐がまだ荒れ狂い、3人全員が祈っていたと書かれていたそうです。実際、灯台内にいれば安全だと分かっていて、なぜそこまで嵐がおさまることを祈っていたのでしょう?奇妙なことに、12月12日、13日、14日にこの地域で暴風雨は報告されておらず、天候は穏やかで、嵐は12月17日までなかったと言われています。最後の日誌記入は12月15日で「嵐は終わり、海は穏やかだ。神はすべてを超えている(Storm ended, sea calm. God is over all)」と述べられていたとされています。神はすべてを超えているとはどういう意味なのでしょう? 謎が謎を呼ぶ内容ですが、これについては、異常な現象に焦点を当てた英国の月刊誌『フォーティアン・タイムズ(Fortean Times)』による調査で、航海日誌が架空のものであり、後に物語に追加されたことを明らかにしているそうです。
とまぁ、色々な憶測から様々な情報が飛び交い、説明を読んでいてもややこしかった。3人全員が一度に灯台を離れることは許可されていなかったそうなので、2人が修理に出掛けている間、1人は灯台におり、仲間が戻ってこなかったので心配して出掛けたか、あるいは危険を知らせるために出掛けて強風、あるいは高波にさらわれたのではないのかなと、個人的には諸説ある中でそれが一番説明がつくのではないのかなと思います。その時の天候は分かりませんけど。。。
実はこのミステリー、『バニシング(The Vanishing / Keepers;2018)』というジェラルド・バトラー(Gerard Butler)主演で映画化されているんですね。映画のストーリー自体はフィクションですが、灯台守3人が忽然と姿を消したこの事件を背景に、こんな物語があってもおかしくないのではないかと作られたミステリー・スリラー映画です。終始暗かったんですけど、スリル満点の緊張感溢れる映画でした。
映画では、嵐の後、岸に打ち上げられた男と木製のチェストを発見し、ドナルドが崖を降りて確認しに行くと、目を覚ました男がドナルドを攻撃してきたため、自己防衛から男の頭を石で殴り殺してしまいます。男が持参していたチェストに金塊が入っていたことから、次々と人間の欲望や狂気が渦巻いていくというストーリーです。
さて、アイリーン・モアの灯台は1971年に機械化され、島は現在、無人島となっているそうです。離島といった島独特の雰囲気と謎の失踪という奇妙な出来事が、様々な憶測を生んでいるのかもしれません。
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