アッパー・アーレイ

アーレイ(Arley)駅で電車を降り、セブン川(River Severn)の対岸にあるアーレイ(Upper Arley)という村に向かいました。川に架かる橋は歩道橋のみ。車は遠回りして別なところに架かる橋を利用しなければなりません。
 
 
かつてはここにも渡し舟があったようで、その名残がありました。今の時代、橋は当たり前のように存在していますが、昔は渡し舟に頼ることの方が当たり前だった訳です。こういう村を目の当たりにすると、橋の便利さとか有難さを実感します。


丘を登ると、何やら城っぽい建物がちらほら。。。調べてみたら、ここにはかつてアーレイ・カッスル(Arley Castle)と呼ばれる16世紀のお屋敷があったそうです。1843~1844年に大規模な再建が行われた建物だったそうですが、残念ながら1960年に破壊されてしまっています。破壊の詳しい理由は分かりませんが、これらはその名残だったのですね。


 
イギリスでは各地で数多くのお屋敷が一般公開されています。チューダー、ゴシック、ジョージアン、ヴィクトリアン云々。人々はそこの歴史を知り、豪華な建築やコレクションを見ては、「あぁ、すごいね」と感嘆する訳です。ところがそれらの建物は破壊をま逃れた実に幸運な建物でもあるんですよね。何故なら、私有、あるいはイングリッシュ・ヘリテージ、ナショナルトラスト等の運営管理によって上手く維持されている建物たちだからです。ドラマ『ダウントン・アビー』でも描かれていましたが、時代の流れと共に貴族の経済状況は変わっていきます。広大な土地・屋敷を維持することは容易いことではありませんでした。事実、1800年以来、イギリスでは2,000もの有名なカントリー・ハウスが失われているそうです。理由は様々。農業や鉱山等からの収入減による財政難、重い相続税負担、都市開発や産業発展による影響、不使用、火災、第一次世界大戦や第二次世界大戦中での接収、乾湿や腐敗による自然破壊など。アーレイ・カッスルはその不運な道を辿った一つだったのです。その敷地の一部は現在、樹木園(Arley Arboretum)として一般公開されていました。
 
Arley Castle
Source; www.lostheritage.org.uk
参照;

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