聖アルフェッジ教会跡。

最近はコロナの影響もあり、ロンドンへは全く足を運んでいませんが、記事にし忘れていたものがあったので、去年撮った写真を引っ張り出してきました。バービカン(Barbican)やロンドン博物館(Museum of London)近くにある遺跡『セント・アルフェッジ・ロンドン・ウォール(St Alphage London Wall)』です。以前、ロンドン・ウォール巡りをしていた時には、工事中の高い壁に囲われてほぼ見えていなかったんですが、現在は壁も取り外され、近代的なオフィス街の道路沿いに立派な古い遺跡がどーんと姿を現しています。


かつてこの場所には2つの教会がありました。1068年以前に建てられたとされ、北側をロンドン・ウォールにくっ付けて建てられた聖アルフェッジ教会( St Alphage (or St Alphege) Church)と、1000年以前に建てられたとされる修道女の修道院教会(the Priory Church of the St Mary-within-Cripplegate nunnery)です。教会は(ロンドン・ウォールの)クリップルゲートに近いことから「聖アルフェッジ・クリップルゲート(St Alphege Cripplegate)」としても知られていたようです。

 
ところが教会は1530年代に国王ヘンリー8世のイギリス宗教改革の一環でロンドン・ウォールを残し取り壊されてしまったんですね。一方、修道院教会は1329年までにコミュニティが衰退し1536年には解散していましたが、建物自体は生き残り、最終的に「聖アルフェッジ」という名前を受け継いで、新しい教区教会となりました。教会は1624年に修復され、1649年に尖塔の上部が再建されています。1666年の大火では損傷を受けましたが、崩壊はま逃れました。建物は修復などを繰り返してきましたが、劣化により1774年に再建されています。その後も火災やら、劣化やら、一部解体やら、大戦の爆撃とやらで、最後まで残っていたタワーもついに崩壊。現在残っているのがその塔の下の部分なのだそうです。まさにこの教会も波乱万丈ですね。。。それだけ見ても、現在のロンドンが様々な歴史の上に成り立っていることが感じられます。この周辺は整備され、ビルとビルとが歩行者用通路(2階部分)で繋がっているので、上から見下ろして見ることも可能です。

ロンドン・ウォールの北側には、かつて教会墓地があったそうです。その後、壁を建物の一部に組み込んで建物が建てられていたそうですが、第二次世界大戦の爆撃によりダメージを受け、姿が露になったそうです。ローマ時代の壁の上には時代の異なる石が積み重なっているのが分かりますね。



1976年、この敷地にサルターズ・ホール(Salter's Hall)という建物が建設され、ロンドン・ウォール側にはガーデン(St Alphege Gardens)が作られたそうです。現在はパブリック・ガーデンとなっているので自由に見ることができます。私が行ったときはまだ一部整備中のようでしたけどね。

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