グズラム(Guthrum/ Guðrum; died c. 890)は、871年にイングランドを侵略したヴァイキング、「大軍隊(the Great Heathen Army)」の指導者の一人で、のちに「デーンロウ(Danelaw)」の王となった人物です。デーン・ロウとは古英語「Dena lagu (Danes' law)」に由来する言葉で、デーン人(ヴァイキング)の支配下に置かれたイングランド東部地方を意味します。地図(下)のいわゆるべーじゅ色のところですね。
ヴァイキングというと、斧や刀を振りかざし、勇猛で野蛮といイメージがあるけれど、グズラムに関してはなんか人間味が垣間見える気がする。というのも、グズラムはキリスト教を受け入れて改宗したことで知られているヴァイキングだからです。それまで彼らは何を信じていたかというと古代ギリシャやローマの宗教のように多くの神々を崇拝していました。日本の神道にも通じるところがありますよね。それは北欧神話(Norse Mythology)と呼ばれ、主神である『オーディン(Odin)』や雷の神『ソー(Thor)』などが有名です。
アルフレッド大王(King Alfred)との戦いに負けると、両者で平和条約の『交渉』を行うんですよね。そして、ヴァイキングはデーン・ロウという地域に居住する権利が認められます。さらに、グズラムはアルフレッド大王をゴッドファーザー(洗礼名の名付け親)としてアゼルスタン(Æthelstan)という新しい名を授かり、キリスト教へ改宗するんです。こうしてグズラムをきっかけに少しずつキリスト教への改宗がヴァイキングへ広まっていったんですね。グズラムは890年に死ぬまでイースト・アングリアに留まりました。そして彼の遺体は『Headleage』に埋葬されたとされており、それは現在のサフォーク、ハドレイ(Hadleigh, Suffolk)と考えられているようです。
信念を変えるってそう簡単なことじゃないと思うんです。そもそも改宗なんていう前例も発想もなかったでしょうし。だからアルフレッド大王もそうですが、人間として互いに歩み寄る姿勢を見せた彼らって凄いなと思うんです。現代にももっとこういうリーダーがいたらいいのに。。。
参照;
コメント