心臓。

度胸のある人を『心臓に毛が生えている』などと表現しますが、元々は「肝が据わる」や「肝っ玉」などと表現されるように、江戸時代には『肝に毛が生える』と使われていた言葉が変化したものなのだそうです。なかなか面白い表現ですよね。私は真逆のタイプですけどね。。。

さて、アン・ブーリン(Anne Boleyn)の話ついでに、彼女の『心臓』の話。彼女はヘンリー8世の2番目の王妃、エリザベス1世の生母、そして1536年5月19日に反逆、姦通、近親相姦及び魔術という罪でロンドン塔にて斬首刑に処せられたことは有名です。処刑後、彼女の遺体はロンドン塔の聖ピーター礼拝堂に埋葬されていますが、その心臓は取り出され(おそらく叔父によって)ロンドンから離れたサフォークのアーワートン(Erwarton, Suffolk)にある教会に埋葬されたという伝説が残されています。

Source; Wikipedia
Anne Boleyn in the Tower by Edouard Cibot(1799-1877)

アーワートンの村は、印象的なゲイトハウス(1549)を持つアーワートン・ホール(Erwarton Hall)が有名だそうで、アン・ブーリンの叔父が住んでいたことから、彼女は頻繁に訪れて滞在していたと言われています。実際、1837年にそこの教会から心臓を入れた?と思わしき小さなハート型をした容器が発見されています。中にはほこり以外何も含まれていなかったようですけどね。伝説が本当かどうかは分かりませんが、教会内の洗礼盤の装飾には異例なイングランドの伝統的な花のエンブレムであるテューダー・ローズが含まれていること、『クイーンズ・ヘッド』と呼ばれるパブがある(あった)ことなどから、伝説を後押ししたくなる要素が詰まった村のようです。ちなみに、一般的なパブの名前にある「ほにゃらら・ヘッド」というのは特に斬首とは関係なく、おそらく多くの人々が文字が読めない時代、パブの看板に王や女王などの顔(頭の部分)を表示したからと言われていますけどね。

Source; Wikipedia
Erwarton Hall Gatehouse 

実はこの村、公共交通機関を利用して行こうとするとなかなか厄介な場所にあるのですが、ウォーキングで行ってみたいと思いつつ行けていなかった場所からも近いようで、世の中が落ち着いて安全、平和になったら行ってみたいな。

参照;
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Anne_Boleyn
  • https://www.theanneboleynfiles.com/
  • https://www.eadt.co.uk, Weird Suffolk
  • I Never Knew That About Royal Britain, Christopher Winn, Ebury Press
  • Lost Britain, David Long, Michael O'Mara Books Limmited
  • Tracing The History of Place Names, Charless Whynne-Hammond, Countryside Book
  • Hidden Suffolk Gill Elliott, Countryside Book

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