リングワーク

私がイギリスへ引っ越してきた頃は、イングリッシュ・ヘリテイジ(English Heritage)の保護下で一般公開していたヘディンガム・カッスル(Hedingham Castle)。同じエセックスに居ながら、車がないと不便な場所にあるので、そのうち行けたら行こうと思っていたら、イングリッシュ・ヘリテイジの手を離れ、気が付けばウェディング・ベニューになっていました。それでも一般公開はしているようですが、公開日は限定されているようです。。。

この城はイングランドで最も保存状態の良いノルマン・キープと言われています。似たようなお城ではケントにあるロチェスター・カッスル(Rochester Castle, Kent)を私は見たことがあります。あれも見事でした。今回、ヘディンガム・カッスルの内部は見ていませんが、ウェブサイトでバーチャル・ツアーを公開していて、それでも十分堪能できます。興味のある方はこちらからどうぞ


このお城はチューダー時代の美しい建物が今も多く残るカッスル・ヘディンガム(Castle Hedingham, northeast Essex)という小さな村にあります。ドゥームズデイブック(Domesday Book; 1086)によると、もともとここには『Ulwin/Ulwine』という名のサクソン人が暮らしていたのだそう。そして、ウィリアム一世(William I; 1027-1087)がイングランドを征服(ノルマン・コンクエスト;1066)した後、1086年までにオーブリー・ド・ヴェール1世(Aubrey de Vere I; died circa 1112-1113 )に授与されました。彼はウィリアム一世の最も重要な騎士の一人であり、またウィリアム一世の腹違いの姉を妻に持つ人物でもあったんですね。初期の城や建造物は11世紀後半から12世紀前半にかけて、キープは子孫であるオーブリー・ド・ヴェールⅢ世(Aubrey de Vere III)によって1130年代から1140年代にかけて建てられたものと考えられています。

初期の城を調べていたら、2つのベイリーから成る大きな『リングワーク(Ringwork; リング型の土盛り)』の城だったと書かれていました。前に見たモット・アンド・ベイリーに似ているけど何が違うのだろう?と思って調べてみました。簡単に言えば、モットーを持たないベイリーのようなもので、低い盛り土と、堀で囲われているのが特徴なのだそうだ。なので、モット・アンド・ベイリーに比べると手っ取り早くできた城と言う訳ですね。ヘディンガム・カッスルは自然な丘を利用しているようです。


モット・アンド・ベイリー

今回、残念だなぁと思ったのは、カッスル・ヘディンガムという名前が付いておりながら、村からほぼ城が見えないということ。。。高いところに城があるのに木々に囲まれていて、ちょっと離れたところから上の部分がちょいと見える程度でした。現在、ヘディンガム・カッスルにはその子孫の家族が城を所有し住んでいるそうです。


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