グラフィティ

イギリスではコロナによる死者が10万人を超えました。ニュースで医師や看護婦がインタビューを受けると涙ながらに語り、患者ももしかしたら自分は生き延びられないのではという恐怖と戦っている様子が伝わってきます。今私たちができることは、これ以上医療を逼迫させないような生活を送り、患者さんの回復とワクチン効果、早い終息を祈るのみです。

さて、今日は落書きのお話。観光地での落書きがニュースに取り上げられたことがありましたね。落書きによっては建造物等損壊罪や器物損壊等罪に該当する可能性があるそうですが、もちろん落書きは今に始まったことではありません。教会や大聖堂などには今でも中世の落書き・グラフィティが残されていることがあります。そして、教会に限りませんが、『ヘキサフォイル(hexafoil)』と呼ばれる模様が刻まれていることがあります。ヘキサフォイルとは、ゴシック建築の要素として使用されている幾何学的なデザインのことです。このようなシンボルの多くの起源は曖昧で、古代ローマなどでも使用されてきましたが、その意味や機能は時間の経過とともに変化・進化してきたと考えられています。実は中世時代、ヘキサフォイルには悪を「追い払う」魔除けの意味があると考えられていました。


そこで、信徒たちは神聖な建物の壁や扉に、呪詛、まじない、護符を刻みつけました。このような魔除け的なグラフィティは、魔女や異端の儀式にも使われており、描いた者、描かれた場所を守る効果があると信じられていたといいます。あらゆる脅威から大切な何かを守りたいという願いが込められていたようです。ヘクサフォイルは、教会の聖水盤や浸礼の儀式に使われる石製容器にも描かれており、それらはおそらく女性が洗礼前の幼児へ加護を引き寄せるために描いたものと考えられています。当時、図形を描くためのコンパスは、当然ながらさほど普及していませんでしたが、ハサミのようなコンパスになりうる道具は女性の間では広く普及していたようです。

また、教会が『呪詛』としてヘクサフォイルを使っていた可能性もあり、教会の天井に数々の呪詛が残っていることもあるそうです。つまり、教会に背くような言動・行動を働いた者に対して呪いをかける、呪い返しのような意味合いがあったようです。

そういえば、以前立ち寄った教会で、地元の人が壁に中世の落書きがあると教えてくれたことがありました。それはヘクサフォイルではありませんでしたが、なかなか興味深い話でした。落書きと言えど、ある意味昔の人々の声でもあるんですよね。以前、このようなグラフィティに関する番組があって、面白いなぁと思って見てました。何度も足を運んでいるノジッリ大聖堂内にも、下のようなグラフィティが残されているのだとか。今度また確認しに行かなくては。

Source; http://www.medieval-graffiti.co.uk

参照

  • https://www.nationaltrust.org.uk/features/witch-marks-these-marks
  • https://norfolktalesmyths.com/2018/05/30/medieval-graffiti/
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Hexafoil
  • http://www.medieval-graffiti.co.uk/page121.html

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