風見鶏。

『ツバメが低く飛ぶと雨が降る』とか『カエルが鳴くと雨』等、天気に関する諺は日本にもたくさんありますよね?天気予報のない時代に、人々は経験から身の回りの現象によって天気を占ってきました。人間の知恵ですね。例えば、ツバメは虫を補食しますが、低気圧が近づくと湿度で虫の羽が重くなるため、高く飛べなくなった虫を補食するためにツバメも低く飛ぶと、そこにはちゃんとした理由があるんですよね。このような古来から伝わる天気占いを『観天望気(かんてんぼうき)』と言うのだそうです。人間の観察力って凄いなって思う。


さて、イギリスに限ったものではありませんが、教会の尖塔や屋根などに見掛ける風見鶏。起源は定かではありませんが、古いものでは紀元前の中国やギリシャなどで見つかっているそうです。イギリスでは古いもので、10世紀の古英語の詩を収めた750年頃の『エクセター本(Exeter Book)』にウェザーコックについての記述が確認されているそうです。

風見鶏は矢羽根のある風向計で、風向きが天候に関係が深いことから、英語ではウェザーコック(weathercock)、あるいはウェザーヴェイン(weather-vane)と言います。ヴェインという言葉は「旗(banner )」を意味する「フェーン(fane)」に由来しているそうです。そういえば昔、弓を射る人は布製の旗を使用して、風速と風向を測定したとかいう話を聞いたことがあります。


また、コックは雄鶏を意味し、名前はその代表的な形状に由来しているようですが、何故に雄鶏が選ばれたのでしょう?雄鶏は『不寝番・寝ずの番人』の象徴なのだそうです。高いところから町や村を見守る感じなんですかね?そして、コケコッコーと人々に夜明けを告げます。朝日の光を浴びなくても、雄鶏は体内時計の働きで朝が来たのが分かるのだとか。さらに、雄鶏の尾の形も風を受けるのに適していたみたい。

もちろん雄鶏以外にも様々なデザインがあり、可愛らしいですよね。今はその機能性と言うよりもデザイン性の方に目が行きます。何気ない存在ですが、これもその町や村の魅力を引き立てるものの一つと言えますね。

参照;
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Weather_vane
  • The Charm of The English Village, P.H. Ditchfield, Sydney Jones, Barcken Books
  • The Local History Companion, Stephen Friar,Sutton

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