ベッド

ストラットフォード・アポン・エイボンにあるシェイクスピアの生家(Shakespear's Birthplace, Stratford-Upon-Avon)を初めて訪れた時、家の中に重厚な天蓋付きベッドがあったことを今でも覚えています。その時、当時のベッドというのは底が板ではなくベッドの枠にロープが張られていたことを初めて知りました。


さて、ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespear)は、1616年3月25日に最後の遺言に署名をしたそうです。遺言の最後には、当時34歳だった彼の妻(アン・ハサウェイ)に対し次のようなことが記されました。
”Item I gyve unto my wife my second best bed with the furniture 
(2番目に最高のベッドとファニチャーを妻に贈る)”
Source; Wikipeia
 
ここで言うファニチャーとは、家にある家具ではなく天蓋付きカーテンやベッドカバー、枕等を指すそうで、つまりは完全なベッド一式の事のようです。シェイクスピアのいう「2番目に最高のベッド」に関しては、なぜ1番ではないのかと良くも悪くも諸説言われていますが、実際にシェイクスピアと妻のアンが使用していた夫婦のベッドであった可能性が高いとも言われています。真実は謎のまま。ただし当時、ベッドは高価で豪華な家具であり、遺贈としては珍しいことではなかったようで、一般的には生き残った配偶者に与えられるというよりも、代々受け継がれていく貴重な家宝とみなされていたようです。裕福な家には、装飾された天蓋付きのベッドがあり、刺繍の吊り下げやリネンのシーツなどが備わっていたました。貴族はしばしば吊り下げにエンブレムを刺繍していたそうです。その為、ベッドは「富」や「社会的地位」の象徴であり、その家にある「最高のベッド」は訪問客の目にもつくように一階の部屋に置かれ、社交の場となることも珍しくなかったそうです。当時のコモン・ローにより、遺言で言及されている無しに関わらず、未亡人は亡き夫の財産の1/3を受け取る権利があったようですが、あえて遺言にそう記したというのには何か理由がありそうですね。

写真(下)はシェイクスピアのものではありませんが、参考までに、立派な商人の家のベッド。こんな天蓋付きベッドに寝てみたい。因みに日本はなんとなく床に寝るイメージがあったのですが、調べてみたら、正倉院御物の寝台(御床)とよばれる天平勝宝8年(756年)の最古の「ベッド」が存在するらしい。しかも古くてびっくり!詳細は「ねむりくらし研究所」さんのホームページを参照して下さい。興味深い内容です。

さて、普段はベッドに入ってからなかなか寝付けない私でしたが、最近なぜだかすこぶる寝付きが良い。熟睡です。。。

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