くるみ割り人形。
クリスマス・ムード漂うイギリス。ショップで可愛らしい装飾品を見つけるとついつい手を伸ばしてしまう。。。そんな訳で、今年は「くるみ割り人形(The Nutcracker)」を買い足しました。くるみ割り人形というと、バレエの「くるみ割り人形」が有名ですが、私はバレエは詳しくもなく、そもそもこの人形は何なのか?なぜクリスマスなのか?という疑問を持っていました。文字通り、もともとはくるみを割るための道具でした。ナッツは太古の昔から食料として重要であり、人類は殻を割るために様々な方法を編み出してきた訳です。ナッツを割るために使用された石などは様々な地域で発見されており、15~16世紀までには、フランスやイギリスなどでも木彫り職人が木製のくるみ割り人形を作成しています。
さらに、兵隊のくるみ割り人形を題材にしたE.T.A.ホフマン(E. T. A. Hoffmann)の物語「くるみ割り人形とねずみの王様(The Nutcracker and the Mouse King; 1816)」を、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky)が「くるみ割り人形(The Nutcracker)」として1892年にバレエ化しており、これはクリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語であることから、贈り物として贈られることも増え、いつしか人気が高まり、「クリスマス」の飾りとして定着していきました。因みに世界中で普及したのは第二次世界大戦後。ドイツの伝統では、くるみ割り人形は家から邪悪な霊を怖がらせて追い払う幸運の象徴として考えられていたようです。
現在、工場での大量生産などで一般に売られているくるみ割り人形は、口元がパクパク動くものの、くるみ割りの機能は持っておらず、装飾品としてのそのお値段はデザインなどによりピンキリですが、コレクターが集めるような古いものは、くるみ割りの機能を有しているのはもちろんのこと、形、デザイン、機能、材料の入手の可能性など、多くの要因が時代の変化と共に進歩しており、その価値を高めています。博物館によれば、発祥の地や時代の文化的価値観や革新性を反映しているため、歴史そのものの研究対象とみなされているのだとか。下はドイツのザクセン州ノイハウゼン(Neuhausen, Saxony)のヌスクナッカー博物館(Nussknacker Museum)に展示されているオリジナルのくるみ割り人形らしい。もっと実用的な形のものもあったんですね。この博物館ちょっと覗いてみたい。
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