クリスマス・ストッキング

英国エセックスでも雪が降りました。寒い寒い。クリスマスになると暖炉の前に吊るす靴下。英語ではクリスマス・ストッキング(Christmas stocking)と呼ばれています。我が家のクリスマス・ストッキングはプリントが可愛くて数年前にフェアで買った手作り品。そういえば友人もよくクリスマス・ストッキングを作っていました。


もともとは、サンタクロースのモデルとされる聖ニコラス(Saint Nicholas)のお話に由来します。彼が貧しい家庭に滞在していた時、その家の主人から生活のために泣く泣く娘を売る予定だと耳にしました。身売りを余儀なくされた3人の娘たちを哀れに思った聖ニコラスは、夜にこっそりと窓から金貨の入った袋を、暖炉に干してあった靴下に投げ入れるのです。そしてその家族を助けたことから、子供たちは聖ニコラスからの贈り物を待ち望み、ストッキングをぶら下げる習慣が生まれたといいます。

今年の夏、『ブリスツ・ヒル・ヴィクトリアン・タウン(Blists Hill Victorian Town)』というヴィクトリア朝時代の町並みと人々の暮らしを再現した屋外博物館へ行った時、スウィーツショップでジャーに入ったシュガー・マウスを発見しました。シュガー・マウスとは、特にクリスマス・シーズンにイギリスで人気のあった伝統的な「ネズミの形をした砂糖菓子」で、よくクリスマス・ストッキングに入れられていたそうです。見たのは白とピンクのシュガー・マウスでしたが、ヴィクトリア時代の物は特にフレーバーはなく、砂糖の塊だったと店員さんが教えてくれました。


靴下の中身は、聖ニコラスの入れたコインから、小さなおもちゃ、フルーツ、ナッツ、キャンディー、コインなど多様化していきましたが、当時はささやかながらも子供たちにとっては嬉しい贈り物だった訳ですね。現代は豊かになりすぎて、靴下には到底入りきらないようなプレゼントも増えて多様化している訳ですが、豊かさとは別に本来多くの人が忘れかけているような、そいういう物のありがたみだとか、ささやかな贈り物への感謝の気持ちを思い出せれば、『クリスマス・キャロル』のスクルージじゃないけど、より暖かいクリスマスが迎えられるのかも。



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