コーンウォール半島のマーメイド伝説。

まだまだあったコーンウォール半島に残るマーメイド伝説。以前、ゼノア(Zennor, Cornwall)村の教会に伝わる椅子と共にマーメイドの伝説について調べました。おそらくゼノアのマーメイド伝説が一番有名なのかなと思うのですが、他にも伝説があったので記しておきます。
  • ドゥーム バー、パドストウ(The Doom Bar, Padstow, Cornwall);キャメル川の河口にあるドゥーム バーは、流水によって形成される危険な砂州(さす)で、古くから難破船が多いとされる場所でした。かつてこの港の深海は、マーメイドによって守られていると言われていましたが、伝説によると、ある日、地元の船乗りが銃を持ってアザラシを探していた時に岩の上に座って甘い歌を歌い、金色の櫛で髪をとかしている美しい女性に出くわしました。すっかり魅了された彼は結婚を申し込みましたが、女性は(マーメイドだったので)断りました。男性はひどく傷つき、腹いせに女性を銃で撃ってしまいます。そこで彼は彼女がマーメイドだったことに気づきました。しかし時すでに遅し。最後の瞬間にマーメイドは港に呪いをかけたと言われています。その後すぐにひどい嵐が起こり、砂州が形成されて、多くの船が難破するようになったということです。
Source; Wikipedia
By Enys Tregarthen, 1906 - North Cornwall fairies and legends, Public Domain,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19261158

バラッドとして語られてきた別バージョンの話もあります。マーメイドが地元男性と出会い、彼に恋をしました。人間である彼は、長い間海の中で彼女と一緒にいることが出来ず、また彼女は陸上に長くとどまることが出来なかったので、彼らは離れたままの運命にありました。それにも関わらず、マーメイドは必死に彼を愛し、海の下で一緒に暮らせるように彼を誘惑しました。男性は心の準備が出来ず、彼女を拒絶しましたが、マーメイドは彼を海へと引き込もうとしたので、彼女を銃で撃って逃げました。拒絶されたことと撃たれた痛みに激怒したマーメイドは、一握りの砂をつかみ、それをパドストウに向けて投げつけました。この一握りの砂から、その周りにさらに多くの砂が堆積し、難破が多発するようになったと言うことです。パドストウの伝説もやっぱり魔力を持つマーメイド。でもこの悲劇にはどこか美しさがある。

  •  ラモルナ、コーンウォール(Lamorna, Cornwall);こちらは典型的なマーメイドの物語です。岩の上に座り、尾のあるマーメイドが髪をとかしながら歌い、船乗りや漁師を魅了します。彼女の歌声が聞こえてからちょうど7日後にひどい嵐が起こり、難破を引き起こしました。岩の上に現れるのは、混乱を引き起こし船を沈めるためなのか、危険性を警告するためなのかは不明とされています。
  • シートン、デヴォン(Seaton, Devon);シートンはかつて賑わいを見せた大きな漁港で、海岸沿いには家や企業が建ち並んでいました。ある日、港の近くにイワシの群れがいるのを見つけ、地元の漁師たちが分散してボートに乗って大量にイワシを捕獲しました。マーメイドがあるボートに近づき、若い漁師といちゃつき始めます。漁師たちは忙しく、魚に気をとられていたため、マーメイドも誤って網に掛かってしまいました。若い漁師は彼女を解放しましたが、マーメイドはネットに巻き込まれたことに腹を立てて、侮辱されたと復讐を決意しました。そしてマーメイドは村を呪いながら、大規模な砂嵐を引き起こしました。港や町には大量の砂が覆いかぶさり、建物が破壊されました。それ以来、シートンのルー(Looe)とダウンデリー(Downderry)の間に美しいビーチが存在するようになったと言われています。

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