マクリー・ムーア・ストーン・サークルズ
私が実際に見たもう一つのストーン・サークルは、スコットランドに属するアラン島(Isle of Arran)の『マクリー・ムーア・ストーン・サークルズ(Machrie Moor Stone Circles)』です。そこにはマクリー・ムーアと呼ばれる原野があり、6つのストーン・サークル等が点在しているんですね。その時はツアーでしたがグレートブリテン島からフェリーに乗り、アラン島へ向かいました。フェリーから見えてきたアラン島。
まず港に到着して大量発生の「みっじ(midge-s)」の洗礼を受けました。みっじとは小さな虫で、湿度の高い所でよく見かけます。これが、とにかくしゃべろうとすると口に入ってくるくらいすごかった。虫嫌いの私には悪夢でしたが。。。
さて、ストーン・サークルズの場所まで、羊の放牧されている場所をちょっと歩いたのですが、とにかく、乾燥したあるいは新鮮な羊のフンがあちこちにあって歩くのが大変でした。ウォーキング等を始めた今は、そんなことにもある程度慣れましたが、当時、がっつり日本の都会生活を送っていた私にはなんとも嫌な感じに思えたのでした。原野なので何もない。風が吹く原野をただただ歩いて、ストーン・サークルズを見に行きました。
ここにある遺跡全部を見て回った訳じゃないんですが、こちらは直径約13mの背の低い石のストーン・サークル(Machrie Moor 11)。石は花崗岩(かこうがん;granite)だそうです。一番高い石でも1.2mだそうで、高さがないせいか安定感があります。
さて、アラン島はかつてはウィスキー生産が盛んだった島の1つで、最盛期には50以上のウィスキー蒸留所があったと言います。残念ながら徐々に減少し、1836年までに全ての蒸留所が閉鎖されています。そして1995年に『アラン蒸留所(Arran distillery)』が新設され、この島でのウィスキー生産が約160年ぶりに再開されました。そこで製造されている商品に『アラン・マクリー・ムーア(Arran Machrie Moor)』というウイスキーがあります。私もアラン島の観光目的地の一つであるこのアラン蒸留所に行きましたが、お土産に購入したのは違うウィスキーのミニボトルでした。『アラン・マクリー・ムーア』のラベルは、この古代遺跡かと思いきや「鎖につながれた犬」。なぜ?と不思議に思って、よくよく読んでみたら、それはアラン島に伝わる民間伝承に基づいたものでした。
先に11番目のストーン・サークルは泥炭に完全に沈んでいたと書きましたが、この辺りは炭泥、ピート湿原だったんですね。そう。ピートとはウィスキーの製造に欠かせない原料ですよね。さらに、『マクリー・ムーア・ストーン・サークルズ』の1つ(Machrie Moor 5)は、二重のストーン・サークルとなっており、内輪(直径12.0m)は8つの花崗岩の岩、外輪(直径約18.0m)は15個の花崗岩の岩で構成され、「フィンガルの大釜座(Fingal's Cauldron Seat) 」としても知られているそうです。これは何かというと、巨人戦士フィンガルが内側のサークルの石の上で大釜を沸騰させるたという伝説に基づいたものだそうで、外輪の石の1つには穴が開いており、巨大な愛犬ブランを繫いでいたとされています。ブランは賢い狩猟犬だそうで、神話において犬は重要な動物であり、かつ死の世界とも関わりが深いと考えられているのだとか。ウィスキーのボトルに描かれた犬はその伝説を基にデザインされたブランだったんですね。全く無縁ではなかった。だろうね。。。でも納得です。
参照;
- https://www.historicenvironment.scot/visit-a-place/places/machrie-moor-standing-stones/
- https://en.wikipedia.org/wiki/Machrie_Moor_Stone_Circles
- https://www.mysteriousbritain.co.uk/ancient-sites/machrie-moor-stone-circles/
- https://www.arranwhisky.com/
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