クラヴァ・ケアン

かれこれ20年程前の話になりますが、私が最初に見たストーン・サークル(Stone Circle, ‐s)はスコットランド・インヴァネス(Inverness)近郊にある『クラヴァ・ケアン(Clava cairn)』と呼ばれる遺跡でした。ストーン・サークルとは、石を環状に配置した古代遺跡のことで、イギリスではストーンヘンジ(Stonehenge)が有名ですよね。個人的にストーンヘンジの遺跡に興味あるけれど、テレビ番組を見るくらいで、実際に見に行ったことはありません。イギリスには約1,300ものストーン・サークルがあるそうで、その多くはスコットランドで発見されていると言います。あちこちに多数存在しているんですね。私がこれまで見たのは2か所。いずれもスコットランドです。今回、そのストーン・サークルズについて2回に分けて書こうと思います。

まず、この『クラヴァ・ケアン』とは、クラヴァのバルヌアラン(Balnuaran of Clava)って読むのかな?にある3つのケアンに因んで名付けられた遺跡です。『ケアン(cairn)』とは、天然ではなく人によって組み立てられた積み石を意味します。よく山に行くと石が積み上げられてたりしますが、あれもケアンです。写真で見てもわかるように、これはドーナッツ型に石がガッツリと密集して積まれ、死者を中央に埋葬するために建てらた墓だそうで、その起源は紀元前2000年頃にさかのぼると言います。実はインヴァネス周辺にはこのタイプのものが多く存在しているのだとか。

写真のケアンは確か入口のないタイプだったと思うのですが、それは単に死者を再訪したり、他の遺体を埋葬する意図がなかったことを示し閉じられていると言います。この他に中央に繋がる狭い通路のあるタイプもありました。そちらは身長以上に石が積まれていて高さがあったと思います。入口は南西に向かって真冬の日没に向けられているそうです。つまりは、ここでも天体の知識を持ち、方角など綿密に計画されて作られたということです。しかも、当時の寿命が30歳くらいだったことから、若者たちが作った事になります。ついつい自分たちに置き換えて大人社会を想像してしまうのですが、若いコミュニティーだったということなんですね。そう考えると益々このケアンの凄さを感じてしまう。ここのケアンはいずれも外縁をストーン・サークルで囲まれています。実際、埋葬された人々については何もわかっていませんが、おそらく高貴な、そして重要な人物であったことは想像できますね。通常、クラヴァの中央には遺体は1~2体しか埋葬されていなかったようです。

余談ですが、ドラマ『アウトランダー(Outlander; 2014年)』に出てくる架空のストーン・サークル(Craigh na Dun)は、作者が『クラヴァ・ケアン』を訪れ、インスピレーションを得たものということで話題になったようです。ですが『クラヴァ・ケアン』を訪れてもドラマと同じものが見れる訳ではありません。あれはドラマ用に作られたものらしいので。

さらに、ここの石を持ち帰った人には不幸が起こると言われ、実際に持ち帰り、後に送り返してきた事例もあるのだとか。確かに、これだけ石があれば一つぐらい。。。と思ってしまう人がいてもおかしくないけれど、遺跡のものを絶対に持ち帰ってはいけません!とにかく、私が初めて見たストーン・サークルは、あまり有名なものではありませんでしたが、実際にケアンの中央に立ってみると、古代の神秘的に囲まれ、不思議な雰囲気の漂う素敵な空間だったなと思います。

参照;

  • https://www.historicenvironment.scot/visit-a-place/places/clava-cairns/history/
  • https://en.wikipedia.org/wiki/Clava_cairn
  • https://www.visitscotland.com/info/see-do/clava-cairns-p245611

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