セント・ジョンズ修道院
古代ローマ時代から存在し、ブリテン諸島最古の町と称されるコルチェスター(Colchester)には、かつてセント・ジョンズ修道院(St John's Abbey)がありました。セント・ジョンズ修道院は1095年に設立されたベネディクト会の修道院で、1539年に修道院最後の修道院長の反逆罪による裁判と処刑を受けて解散した後、建物のほとんどが取り壊され、現在残っているのは立派な門のみ。小塔のあるこの門は1381年頃に起きた農民反乱を受けて、防御強化のため、改修の一環として1400年頃に追加されました。
このセント・ジョンズ修道院は薔薇戦争時代、反体制のヨーク派たちにとって安全な避難場所とみなされていました。実際、1485年のボズワースの戦いの後、ヘンリー 7 世に対する最初の武装蜂起を率いたフランシス・ロヴェル卿(Francis Lovell)、バッキンガム公ハンフリー・スタッフォード(Sir Humphrey Stafford)とトーマス・スタッフォード(Thomas Stafford)兄弟は共にセント・ジョンズ修道院に逃げ込んだとされています。
複雑な装飾が施された石造の門にはアーチ形の門扉と上階には窓が確認できます。装飾は前回書きましたが、フリント細工を用いたイースト・アングリア地方の伝統的な「フラッシュワーク(flushwork)」です。建物の裏側はローマ時代と中世のレンガが使用されており、アーチ型天井など、ほとんどがオリジナルのままだそうです。
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