フラッシュワーク

たまに目にするごつごつ岩を使用した建物。このようなフリント(flint;燧石)と切石を組み合わせた装飾的な石積みは、建築において「フラッシュワーク(flushwork)」と呼ばれています。特にイースト・アングリア地方で見受けられるもので、以前、ノーフォークにあるシェリンガム(Sheringham, Norfolk)という町に行った時、まず目を引いたのが、フリントを使用した建物で、独特な雰囲気を醸し出していました。
シェリンガム(2014)

 


コッツウォルズ地方は、地元で採れる蜂蜜色の石灰岩で作られた建物が数多く並んでいることで知られています。一方、イースト・アングリア地方では地元で採れる丸い灰色の小石で建てられているのです。フリントは非常に硬く割れやすいという特徴があり、もともとはランダムに並べただけでしたが、1250年以降、色のコントラストや素材の違いを組み合わせることで、装飾的かつデザイン性の高いものが増えました。このフラッシュワークは、特に地元に良質な建築用石材がない地域に見られるそうですが、作業に掛かる人件費は高かったものの、石を大量に輸入するよりコストが安価だったようです。

引用;Village Building of Britain, Matthew Rice

以下の写真のように、イースト・アングリア地方では教会の外壁などでフラッシュワークがよく見られます。

チェルムスフォード大聖堂
(チェルムスフォード、エセックス)

ホーリー・トリニティ教会
ロング・メルフォード、サフォーク)

ノリッジ大聖堂;セントエセルバートゲート
(ノリッジ、ノーフォーク)

参照;

  • Wikipedia
  • Village Buildings of Britain, Matthew Rice, Little, Brown Book
  • Buildings of Britain, Roger FitzGerald, Bloomsbury
  • The Local History Companion, Stephen Friar, Sutton publishing

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