最も傾斜したパブが姿を消す。
2023年7月末に新たな所有者に売却されたばかりのサウス・スタッフォードシャー(South Staffordshire)にあるパブ「ザ・クルックド・ハウス(The Crooked House)」が、8月5日の突然の火災により警察によって放火として処理されたのち、48時間も経たないうちに残骸が粉々に破壊されたとして、現在その謎が物議を醸してニュースとなっています。
Source; Wikipedia By MIDI - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=135612932 |
1765年に農場の家屋として建てられたこの建物は、1830年頃にパブに改装され、当時の地主スティーブン・グリン卿(Sir Stephen Glynne)にちなんでグリン・アームズ(the Glynne Arms)と名付けられました。な~んでこんなに曲がっているのかなというと19 世紀半ばに行われた採掘作業が原因で、建物の片側が地盤沈下してしまったためらしい。当時、ブラック・カントリーとして知られるこの地域は炭鉱が重要な産業だったんですね。その後、地元の方言で曲がったことを意味する「シデンハウス(siden house)」あるいは「シディン(sidin/ side-in)」と呼ばれるようになり、2002年に同意味の「ザ・クルックド・ハウス」と名付けられました。1940 年代には取り壊されるはずだったものの、ウォルヴァーハンプトンとダドリーの醸造所が介入し、まだまだ可能性があるぞということで、補強され生き残ったという変わった建物。それだけ地元の人々に愛されてきた建物なだけに、今回の出来事はショックで怒りの声が上がっています。
地元の歴史家によれば、ある時点で傾斜は約15度あったらしい。ここまではありませんが、東日本大震災で実家も床が若干斜めになり、住んでいると気持ち悪くなったのを思い出しましたが、古い建物こそ価値のあるイギリスでは古い町並みの中で傾斜した家を目にすることは珍しくありません。
ポストカードにもなった建物;1904 |
参照;
- Wikipedia
- The Crooked House: Mystery and anger surround wonky pub destruction - BBC News
- Crooked House pub: Excavator that demolished historic building ‘was hired before the fire’ | The Independent
- ‘It’s gobsmacking’: locals demand answers to demolition of Crooked House pub | Pubs | The Guardian
- Crooked House, Himley – Mysterious Britain & Ireland
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