シェークスピア語録-Salad Days

故エリザベス女王は1977年、シルバー・ジュビリー(在位25周年記念式典)での演説に際し、自身が21歳の誕生日放送で語った神と国民への誓いについて言及し、『その誓いは若くて経験も浅く、判断が未熟だった頃に立てたものではあるが、私はその誓いを一言も後悔することも撤回することもしない(Although that vow was made in my salad days, when I was green in judgment, I do not regret nor retract one word of it.)』と述べました。カッコいい。

人生において、世間知らずだった若かりし頃、経験の未熟な時期などを指す『サラダ・デイズ(salad days)』というフレーズがあります。また『グリーン(Green)』も同様に、尻が青いとか、未熟な、経験の浅い、世間知らずのという意味があります。実は、この『サラダ・デイズ』は、シェークスピアによる造語で、『アントニーとクレオパトラ(第1幕第5場)/ Antony and Cleopatra; Act 1, Scene 5』でクレオパトラのセリフとして登場します。
CLEOPATRA; My salad days, When I was green in judgment, cold in blood, To say as I said then. But, come, away. Get me ink and paper. He shall have every day a several greeting, Or I'll unpeople Egypt.
シーザーと関係を持ったとき、彼女は若くて経験が浅かったことをほのめかしています。今のアントニーへの血がわきたつような激しい情熱に比べれば、当時の彼女の判断力は青く、思いやりに欠け、冷血だった「サラダ時代」になされたものということです。クレオパトラとは違い、故エリザベス女王は51歳となった当時もその判断は変わらなかったんですね。そういうことを公然と言ってのけた。凄いです。そして、スピーチの中でシェークスピアの一部を引用した辺りがイギリスだなと思いました。
サラダと言えば、だいぶ前になりますが、歌人、俵万智さんが1987年に出版されてベストセラーとなった歌集『サラダ記念日』を思い出しました。当時は和歌にもピンときていませんでしたが、確か我が家にも本があって、「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」は記憶に残っています。万智さん曰く、「七月六日」という日付はサラダがおいしいく、野菜が元気な季節ってことで、六月とか七月初夏の感じ(サンスポ記事より)で選んだそうです。やはり、サラダと言えば主役は野菜であり、フレッシュで青々しいイメージですもんね。ここではグリーンが日本語だと青になることは置いておいて、『サラダ・デイズ』の意味は受け入れやすい印象ですね。


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