スコットランド;ノックドリアンのマーメイド伝説。

スコットランドにまつわるマーメイド伝説。ありがちなストーリーですけど、色々ある中で個人的には何となーくドラマ的な映像が頭に浮かんだこのノックドリオンのお話が好きです。このお話は、ジョージ・ダグラス(George Douglas)によって記された『スコットランドのおとぎ話と民話(Scottish Fairy and Folk Tales;1901)』に掲載されました。

ノックドリアン城(Knockdolian Castle)は、スコットランド、サウス エアシャーにある小さな村コルモネル(Colmonell, South Ayrshire, Scotland)に実在するお城です。スティンチャー川(The River Stinchar)が渓谷を流れるコルモネル地域にはクレイグニール城(Craigneil Castle; 13世紀)、カークヒル城(Kirkhill Castle; 16世紀)、ノックドリアン城(Knockdolian Castle; 16世紀)という廃墟となった城が3つあるそうです。今回はその一つ、ノックドリアン城のお話ですが、そう、残念なことに現在は廃墟化してしまっているんですね。よく見たら物語では「Knockdolion」とスペルが微妙に異なるのもあるのですが、ノックドリアン城に関連付けられたお話と言われており、また、先ほどスティンチャー川と言いましたが、物語の中ではガーヴァン川(Girvan)という名で描かれています。だからちょっと架空な要素が混ぜられているんですね。

  • ノックドリアンのマーメイド伝説;ノックドリアンの古い屋敷はガーヴァン川のほとりに立っており、その端に黒い岩がありました。マーメイドはその黒い岩の上に座って歌うのが大好きでした。ところが、歌うことで赤ちゃんが目覚めてしまうことに気づいた城の婦人は、ある日、使用人に黒い岩を破壊するように命じるのです。翌夜、岩が無くなっていることに気づいたマーメイドは、「お前たちは揺りかごを思うかもしれないが、私は自分の岩を思うのだ。ノックドリアンには二度と跡継ぎは生まれない」と呪いの歌を歌いました。数日後の夜、揺りかごがひっくり返り赤ちゃんがその下で死亡しているのが発見されました。その後、マーメイドの呪いの通り、家族はすぐに絶滅したと付け加えられています。

実際、ノックドリアン城の最初の所有者はロバート・グラハム(Robert Graham/1570-)と記録されているそうです。その後マッカビン家(MacCubbin;1660‐)、キャスカート家(Cathcart; 1715‐)、マコーネル家(MacConnel ;1872‐)と受け継がれてきました。因みにキャスカート家の直系は断絶してしまったのだとか。もちろん揺りかごがひっくり返って赤ちゃんが亡くなったからとかいう話ではありません。物語はあくまでも伝説ですからね。

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